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東京高等裁判所 昭和41年(行ケ)107号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一 原告の請求原因一ないし四の事実(特許庁における本件手続の経緯、本願発明および引用発明の要旨ならびに本件審決の理由の要点)は当事者間に争いがない。また、請求原因五の(一)のうち、半導体物質の精製ないし単結晶化の方法として、従来から原告主張のように分類される各種の方法が公知であつた事実は、被告の明らかに争わないところであり、そして、引用発明が右公知方法のうち「台座法」に属し、本願発明が「浮遊帯域溶触法」に属することは、当事者間に争いがない。

二 そして、右のように引用発明が台座法に属し本願発明が浮遊帯域溶触法に属するということの意味は、前記争いのない両発明の要旨にてらし、両発明の構成要件自体に、右の点で差異があるということである。したがつて、両発明の関係において、台座法と浮遊帯域溶触法とが技術的に同一または均等のものでないかぎり、両発明は、少なくともこの点で構成を異にした別異の発明であるといわざるをえない。

三 しかして、被告は、その主張二において、両発明が「種子結晶は融解半導体材料の断面積にくらべて非常に小さい断面積を有する」という最大の特徴を共通にしていることを指摘し、また、その主張三および四において、台座法と浮遊帯域溶融法との間には、操作上の難易の差はあるにしても、得られる単結晶の太さや物性の向上の点に格別顕著な差異はないことを指摘するに止まり、右両方法が技術的に同一または均当の方法であることについては、なんら主張立証するところがない。のみならず、引用発明の特許公報によれば、引用発明は、浮遊帯域溶融法(フローティングゾーン法)のごとき坩堝を用いない方法においては「初期段階において結晶の成長の制御」が非常に困難であることから、この障害を除去するため、特殊構造の台座による種子結晶引上法を採用したものであることが認められ、この事実と本件弁論の全趣旨をあわせ判断するならば、台座法と浮遊帯域溶融法とは、用いる手法を異にし、そこから成長インゴットの径の太さや物性の向上の制御の難易という技術上の重要点に差異のある、まつたく別個の技術手段であり、かつ、引用発明においては浮遊帯域溶融法によるものを意識的に除外しているものというべく、したがつて、引用発明と本願発明とが、いずれも多結晶半導体材料から製造される単結晶の性質の改善を目的とし、半導体棒の断面積にくらべて遙かに小さい断面積の種子結晶を使用する点で共通であるとしても、これを台座法において(特殊な構造の台座を用いて)行なう引用発明と、浮遊帯域融溶法において行なう本願発明とは、技術思想の実体に重要な差異を有する別個の発明といわなければならない(被告の主張は、結局、本願発明が、引用発明との共通点の故に、引用発明との関係で進歩性がないことをいうに止まり、採用できない。)。

四 以上のとおりであるから、その主張の理由により本件審決に違法があるとしてその取消しを求める原告の請求を正当として認容する。

(三宅正雄 杉山克彦 楠賢二)

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